6月18日パネル討論
記憶と記念 責任と希望の間で 「花岡記念館建設が拓くもの」
木越陽子 (NPO法人「花岡平和記念会」事務局員)
花岡事件の記憶が色濃く残る時空で育つ。連合大舘地協事務局長■活動■花岡事件の記憶が色濃く残る時空で生まれ育つ。連合の数ある地域協議会の中で数少ない女性事務局長。/「・・・戦争中逃げ出した敵国の捕虜を捕まえ殴ることは愛国心の誇示だった。敗戦で今までの正義が犯罪となり・・・花岡の人間は花岡事件のことを語らないという暗黙の掟を持ち、どうしても話さなければならない時は目を逸らし、力なく拙い言い訳を加味するようになった・・・」
花岡記念館は、中国人の被害の現実を見つめながら、加害の立場からのものでなければならないが、同時にその中で、鉱山の町に生き、花岡事件の加害者となった花岡の人々もまた、この問題を真摯に見つめることによって「いやされる」ようなものにしたい。
石坂啓 (漫画家、「週間金曜日」編集委員)
フェミニストの立場から反戦を訴える。雑誌「週刊金曜日」編集委員■作品■「赤ちゃんが来た
」「正しい戦争」他多数/「(アメリカによる対イラク戦争を)漫画の『ドラえもん』にたとえるなら、アメリカがジャイアン、日本はジャイアンのいいなりで小賢しいスネオ」。
戦前というよりも、イラク戦争への参加によってもはや戦中としかいえないような状況になり、表現の自由がおびやかされている。この時代に逆行するような、歴史と真剣に向き合うすばらしい仕事を支持する。
池田恵理子 (アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」運営委員長、ビデオ塾主宰)
ビデオ塾主宰、テレビ・プロデューサー■作品■「大娘たちの戦争は終わらない」(58分・ビデオ塾)「黄土の村の性暴力」(共著・創土社)/「9.11以降、21世紀は暴力と戦争の世紀になろうとし、戦争ができる普通の国にしようとする今の日本では、闇に葬られてきた性暴力被害者の声を歴史にとどめること、調査すること・記録すること・・・資料館の建設運動自体が、抵抗運動・反戦運動となる」。
記憶こそが民衆の武器である。加害の地そのものに造られるこの記念館は、記憶を風化させないだけではなく、情報発信の場であり、未来を築く新たな拠点となるだろう。
国家に掠め取られる歴史
アジア太平洋戦争末期、花岡事件−中国人の蜂起は国防保安法により地元の人々に口外禁止とされ、戦後は「郷土で問われる戦争犯罪」として、花岡の人々に沈黙を強制してきました。国家による愛国心や郷土愛の強制がふたたび目論まれようとする今日、お国によって民族排外主義を叩き込まれ、郷土において侵略の加担者とされてしまった花岡の歴史を繰り返してはならない!という民衆運動の大きなよりどころ、それが中国人強制連行135ヶ所の加害の地に、戦後62年を経て唯一建てられようとする花岡記念館です。
「花岡に至り 花岡からはじまる」−明日へ記念館を繋ごう
ドイツではヴァンゼー記念館はじめ強制連行を記憶し風化させない施設がいくつもあります。2000年11月の花岡和解を勝ち取って以降、986名の受難者のうち500名を越える生存者・遺族と和解事業の中で出会うことができました。記念館用地を2005年末・花岡受難現地に取得、いよいよ建設の段階に至っています。加害の地から平和の発信を!と、2007年の開館を目指して(第2期)花岡記念館建設運動が開始されました。多くの方々の資金カンパで用地取得は実現しました。いよいよ、建物つくりへ、そして記念館の内容・運営へと歩を進めます。多くの皆さんとの共同作業で、心のこもった記念館を実現したいと思います。
◆記念館建設へのご支援は
〒017-0885 秋田県大館市豊町2番37号 大館労働福祉会館気付 NPO花岡記念会
(рO186−42−6539、FAX0186−43−1302) E-mail:apoc@ruby.ocn.ne.jp へ